牡蠣は世界各地の海に生息し、古くから洋の東西を問わず、広く人々に食べられてきた。朝鮮半島でも、古く鉄器時代初期の遺跡、慶尚南道(キョンサンナ
ム
ド)・金海(キメ)の貝塚から、30数種類の貝殻に混じって牡蠣の殻が出土している。
牡蠣は海中の暗礁にくっついたまま、移動せずに生育するため、養殖が比較的容易といわれる。韓国では、
慶尚南道の巨済島(コジェド)〜全羅南道(チョ
ル
ラナ
ム
ド)の麗水(ヨス)にかけての一帯「閑麗水道(ハ
ル
リョスド)」が牡蠣養殖の名産地
だ。
日本ではマガキやイワガキなどの大型種が食用種として知られているが、牡蠣の種類は非常に多く、環境によって殻の大きさや形が一定しないため分類が難しい。韓国では、
マガキ
(韓国語では
:チャ
ム
ク
ル
)が養殖の主流で、ほかに
イタボガキ
(
:カンク
ル
)、
イワガキ
(
:パウィク
ル
)などもあり、全体的に日本と比べると小型。
■
牡蠣の栄養
牡蠣は
「海のミルク」
と呼ばれるほど滋養豊かな食べもの。良質なタンパク質のほか、鉄分、カルシウム、亜鉛などのミネラルや、タウリン、セレン、エイコサペンタエンサンなどの有効成分を多く含むため、貧血、高血圧、動脈硬化、腎臓病などの予防によい。
■
牡蠣の旬と毒
牡蠣は、産卵期を迎えると精巣と卵巣が肥大するため、食用に向かない。しばしば、英語でRのつかない月(May、June、July、August=5、6、7、8月)に牡蠣を食べないのは、マガキの産卵期がこの時期にあたるからだ。一方、春〜夏に旬を迎える、イワガキの例もある。
牡蠣は、食中毒を起こす食材としても知られているが、牡蠣に当たる原因としては、貝毒(貝内に蓄えられた海中プランクトンの毒性)、細菌(腸炎ビブリオ、大腸菌)、ノロウィルスなどがあげられ、食べた人の抵抗力によっても左右されるので、一概に時期で牡蠣の危険性を特定することは難しい。
■
韓国における牡蠣料理
●
(
ク
ル
フェ
):生牡蠣のお刺身。新鮮な牡蠣を生で
チョカンジャン
(酢じょうゆ)や
チョコチュジャン
(とうがらし酢みそ)につけて食べる。
●
(
ク
ル
ジョン
):牡蠣の衣焼き。牡蠣に小麦粉と卵をつけて油で焼いたもの。
●
(
ク
ル
バ
プ
) :牡蠣の炊き込みご飯。
●
(
ク
ル
グッ
) :牡蠣スープ。
●
(
ク
ル
ポック
ム
) :牡蠣炒め。
●
(
ク
ル
ジョッ
):牡蠣の塩辛。牡蠣を塩漬けした後、とうがらし、
にんにく
、葱などの薬味を加えたもの。
大根
や
梨
の千切りを混ぜることもある。また、塩漬けせずに直接薬味を混ぜ込んだ、即席タイプのものもある。
↑ク
ル
フェ(生牡蠣のフェ)
↑ク
ル
ジョン(牡蠣の衣焼き)
↑ク
ル
パ
プ
(牡蠣の炊き込みご飯)
↑ク
ル
グッ(牡蠣スープ)
また、韓国では牡蠣はそのまま食べるほか、キ
ム
チを漬けるときに、生牡蠣や牡蠣の塩辛を副材料として入れることもある。
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