豆腐は韓国語で「トゥブ」( )という。豆腐の発祥地は中国であるが、発祥年代については前漢の淮南(わいなん)王時代(紀元前2世紀)という説や、晋時代(3〜5世紀)、宋時代(5世紀))、あるいは唐時代(7〜9世紀)など、諸説あり定かでない。
豆腐が朝鮮半島に伝わったのは、おおむね高麗時代(918〜1392)とみられている。朝鮮半島の文献に初めて豆腐が登場するのは、高麗時代の学者、李穡(イ・セッ)(1328〜1396)が著した『牧隠集(モグンジプ)』。
一方、日本への伝来ルーツについても、仏教伝来と同時期の奈良時代(710〜794))という説や、遣唐使によって8〜9世紀ごろ伝えられたとする説、あるいは15世紀末の豊臣秀吉の時代に朝鮮半島から土佐(高知)に連れて来られた朴好仁(パク・ホイン)という人が伝えたとする説など、諸説ある。
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■韓国の豆腐 |
現在、韓国にはいろいろな豆腐がある。製法によって分類すると、ざっと次のようになる。 |
- ピダントゥブ(
):「ピダン」とは絹の意味。日本の「絹ごし豆腐」同様、豆乳に凝固剤(にがり)を加えた後、容器に流し入れて凝固させ、切り分ける。絹のようになめらかで軟らかいことから名づけられた。ミョンジュトゥブ( )ともいう(「ミョンジュ」とは絹布の意味)。
- ペドゥブ(
):「ペ」とは麻布や綿布のこと。日本の「木綿豆腐」同様、豆乳に凝固剤を加えて固まったところで、布を敷いた穴あき容器に流し入れ、重石をして押し固め、切り分ける。ざらざらした舌ざわりの素朴な豆腐。
- マットゥブ(
):「マッ」とは、「ザッと」「ガーッと」といった意味。ペトゥブ同様に作るが、さらにずっしりと重く押し固めたもので、縄で縛って持ち歩けるほど固い。日本では沖縄の「島豆腐」、富山の「五箇山豆腐」などいわゆる「田舎豆腐」がこれに近い。
- ヨンドゥブ(
):漢字で「軟豆腐」と書く。日本の「充填豆腐」にあたるもので、冷やした豆乳に凝固剤を加えて密閉容器に充填した後、加熱して凝固させる。水分を多く含んだまま凝固するため、もっとも軟らかく、容器からとり出すと形が崩れやすい。
- スンドゥブ(
):日本の「おぼろ豆腐」「汲み豆腐」にあたるもので、豆乳に凝固剤を加えて凝固してきたところを、すくい上げたもの。容器に入れて固めないため、形がなくふわふわとしている。
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