あわび。漢字で「
全鰒
(チョンボッ)」と書く。朝鮮半島では古くからあわびが食べられており、状態によって「
生鰒
(センボッ)」(活きあわび)、「
熟鰒
(スッボッ)」(煮たあわび)、「
明鮑
(ミョンポ)」(干しあわび)などの呼び名がある。
あわびの種類はいくつかあり、朝鮮半島でとれるものでは、済州島(チェジュド)近海や東海岸、南海岸を中心に
(マ
ル
チョンボッ:めがいあわび)、
(カマッチョンボッ:黒あわび)、
(チャ
ム
チョンボッ:えぞあわび)などが一般的。また、済州島近海では「とこぶし」もよくとれるが、韓国では
(オブンジャギ)という正式名よりも、
(チョンボッ)と呼ばれることが多い。
高級食材であるあわびは、朝鮮半島では体力が落ちたときや産後に食べる特別な食べものであり、李氏朝鮮王朝時代には済州島産のあわびが宮中への献上品とされた。
あわびは、かつて冷蔵保存が難しかった時代には、生で食べる以外に乾物にすることが多く、宮中宴会の記録やその他の料理書には、干しあわびが多く登場する。
■
あわびの栄養
あわびは豊富なタンパク質とカルシウムのほか、鉄をはじめとするミネラルも多く、朝鮮半島では昔から補陽食として扱われてきた。
特に、目によいとされてきたが、これは視力増進や目の発達を助けるタウリンが非常に多く含まれているためである。また、あわびに多く含まれるタンパク質の一種コンドロイチンは、関節や軟骨の水分と弾力性を保って老化を防ぐはたらきがあるほか、体力増強作用のあるアルギニン、美肌効果のあるコラーゲンなど、すぐれた栄養素が多く含まれている。
■
あわびを使った韓国料理
(チョンボッフェ)
:あわびの刺身。
薄切りにし、チョコチュジャン(とうがらし酢味噌)をつけて食べる。
(チョンボッチュッ)
:あわび粥。
切ったあわびの身をごま油で炒め、米も一緒に炒めた後、水を注いで弱火でじっくり炊き上げ、塩で味をととのえる。緑褐色のあわびの肝を混ぜで炊いたり、最後に生卵を落とすことも多い。数多い韓国の粥類の中でも、あわび粥は最高級とされる。
(チョンボッチ
ム
)
:あわびの蒸し煮。
あわびに細かい包丁目を入れ、牛肉や野菜とともにとろりと甘辛く煮る。
(チョンボッサ
ム
)
:干しあわびの松の実巻き。
干しあわびをもどして薄切りにし、松の実を中に入れてくるりと巻く。
(サ
ム
ハ
プ
チャングァ)
:宮中料理のひとつで、漢字で「
三合醤果
(サ
ム
ハ
プ
チャングァ)」と書く。高級乾物三種すなわち干しあわび、干しなまこ、干しムール貝を牛肉とともに甘辛く煮つけたもの。
その他、あわびは還暦祝いのとき、食べものを高く積み上げた「
」(コイ
ム
サン)と呼ばれる祝膳にも使うことがある。この場合、干しあわびをはさみで切って鳳凰の姿を形作り、魚介の乾物を積み上げた一番上に飾る。コイ
ム
サンにあわびが加わると、たいへん高級感が出る。
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