ブックカバーチャレンジ二日目は岸朝子さんのご本です。『このまま100までおいしゅうございます』著者:岸朝子東京書籍、平成24年3月2日発行わしが岸さんから最後にいただいた本です。健康人生の十ヶ条、生い立ちから主婦として、記者として、編集者として働くことを愉しまれたこと、お酒や食、人とのご縁を愉しんでいらした岸さんの姿がつづられています。岸さんは私が”おかあさん”のように慕い、可愛がっていただいた恩人です。2015年9月にお亡くなりになるまで、どれだけお世話になったことでしょう。美味しいものを食べ歩き、金澤、沖縄、ヨーロッパや韓国へも旅行しました。初めてお目にかかったのは24歳の時です。わぁー、40年前だわ。女子栄養大学出版部から「モランボンの朝鮮饌表」という本を出させていただいた際、岸さんが直接担当してくださったのです。カメラマンの小川勝彦先生のお宅で緊張しながら撮影したことを鮮明に覚えています。その時、私のお腹には第二子(息子)がいました。懐かしい。2月の料理教室にいらした方が「先生、私、この本持ってるんですよ!先生の写真、若い!」と言ってみせてくれましたっけ。父が岸家の方と親交があった関係で、岸さんはいつも「あなたのお父様に、キョンファをよろしくって頼まれたから。」とおっしゃり、いろんな方を紹介してくださいました。「キョンファさん、パーティーはね、人に会うためなのよ。そんな端っこにいないで、こっちいらっしゃい。」と私の手をひいてくださったり。「キョンファさん、今日のお洋服はとてもいいわよ。」と誉めてくださったり。韓国へ『キムジャンツアー』をした時は、現地の農家で2名ずつお泊りしましたが、岸さんと私は班長さんのお宅でした。夜帰宅したご主人がとっておきの地酒(40°)をすすめられ、当然、岸さんは「では、いただきます。」と快諾。私もご相伴にあずかりました。岸さんは1杯だけカッコよく飲み干し、「あとはキョンファさん、よろしくね。私は先に休まれていただくわ。」とお部屋へ行ってしまいました。ふふふ、その後、私はさんざん飲まされへとへとでした。岸さんとの思い出、写真はかぞえ切れないほとあります。凛として強くてエレガント、お茶目なところもある素敵な岸さんは誰からも慕われ、愛される方でした。私は自分だけの”おかあさん”だと思っていたらとんでもない!岸さんをおかあさんと思う人は大勢いらしたのです。不思議ですが、今でも岸さんがそばにいるような気がして心強いのです。「ろくさん亭」で岸朝子さんを偲ぶ会をしましたが、道場六三郎さんはじめ著名な方々が集まりました。カメラマンの早川さんが、その時の写真を一冊にまとめてくださいました。ページを開くと、胸が熱くなります。早川さん、アルバム大事にしてますよ。岸朝子さん。本当に素敵な方でした。たくさんのご指導、極上の時間をありがとうございました。
2020
185月